ビールの味は誰が決める?
去年の父の日、義理の父と、故郷にいる父、2人に同じものをプレゼントした。
ネットで見つけたビール、3本セット。
私はビールの種類にそれほど詳しくなく、
(ベルギービールは飲みやすい…)
そのビールがどんな味なのかよく分からないまま、とりあえず父2人とも晩酌の習慣はあるしね、と思いながら選んだ。
「届いたよ、ありがとう」というやり取りの後、しばらくして、義理の父と会う機会があった。
「変わったビールだったね。ありがとう。」
と義父が言う。
わたしはその時、
…それって、あまりおいしくなかったってことかな、、あら、お口に合わなかったかしら。
と内心ドキドキしてしまった。
怖いので、その先を聞けなかった。
しばらくして、故郷の父と電話をしていると、
「今日は送ってくれたビールを飲もうと思う。最後の1本なんだ。
美味しいビールなんだ。楽しみ」
と言うので、わたしは、
「そのビール、あまりおいしくないんじゃない?」と返した。
父は、
「えっ、美味しいぞ」
と言う。それでもわたしは、
「いや、それおいしくないみたいなの。いいよ、気を遣わなくて」
と即座に返す。
「いや、美味しいよ」
「うん、まあ、そう言ってくれてありがと」
わたしは、父の「美味しいよ」を、宇宙の彼方に投げ飛ばしてしまった。
そのことに、ずっと後で気づいた。
父が飲んだビールの味は父が決めるのだ。
わたしはそれを聞くだけだ。
義父の感想の、
「変わったビールだ」というのも、
「変わっているけど好き」なのか、
「変わっているから好き」なのか、
「変わっているからあまり口に合わなかった」のか、聞いてみないと分からない。
わたしの日常では、
「怖いし、恥ずかしいし、もうそれ以上相手に聞かないでおく案件」は多数発生している。
「怖いし、恥ずかしいし、もうそれ以上相手に聞かないでおくばかりでなく、
妄想でその話を完結させてしまった案件」も多数ある。
ファンタジー好きね。
・わたしは、相手に喜んでほしかった
・わたしは、相手が喜ぶプレゼントを選べるわたしになりたかった
・口に合わなかったと言われたらわたしが否定されたように感じてつらい
・相手に喜んでほしくてプレゼントを選ぶわたしは愛にあふれている
・相手の気持ちは相手のもの
・わたしからのプレゼントは、父さんsはもう何でもうれしい、はず!
さて、実家に電話をして、
「去年のビール、美味しいって言ってくれたから今年もそれにしようかな、どう?」
と父に聞いてみよう。
次回は、「夫には立派な肩書がついています」というタイトルのブログを書きます。
(自分との約束)。はったりタイトルだよ!